母さんが死んだ。
黒い服の親戚がたくさん来て、何回もお経を聞いたりご飯を食べたりしているうちに母さんは小さな箱になった。茶の間のすみに仏壇が置かれて、僕と弟は毎週お団子を作らないといけなくなり、父さんは家で、お経を書き写すドリルみたいなやつをするようになった。
しばらくして、父さんはまた前までと同じように会社に行きはじめた。だけど帰ってくると、床に転がって寝るまで歌を歌ったり、突然ものすごい量のみそ汁をつくったり、飼い猫のキリンに眉毛を描いたりした。弟に幼稚園を休ませて公園で一日中遊んだりもした。僕と弟は落ち込んでいたけど、父さんはずっと笑っていて、なんだか気味が悪かった。
「お父さんは宇宙人なのよ」
と、よく母さんが言っていた。
母さんが生きていた時はぜんぜん信じていなかったけど、今は、本当に宇宙人かもしれないと思うようになった。
ある夜、三人で仏壇に手を合わせたあと、弟の望が泣き出した。五歳なのをいいことに、お母さんに会いたいよおお、と、遠慮なく泣いた。
十歳の僕は一応「泣くなよ」と言ったけど、ほんとに一応だった。すぐに鼻の奥が熱くなって、涙が出てきて止まらなくなってしまった。
父さんは僕らを見て、下を見て、また僕らを見た。
そしてこう言った。
「明、望、あしたの夜、ちょっと出かけるぞ」
僕は泣きやみ、弟は一瞬だけ泣き止んだ。
「……どこに?」
「お母さんのお葬式をしよう」
「お葬式は、もう、終わったんじゃないの?」と僕は言った。鼻がつまってしゃべると苦しい。父さんは「バカ」と言いながら立ち上がった。
「あんなのは形だけだ。お前たちの知らない人もいっぱいいただろ?だから三人だけで、ちゃんとお葬式するんだ」
ちーん。父さんがろうそくの火を消した手が当たって、おりんが下に落ちた。何かの合図みたいに。
次の日。僕と望は出かける準備をして、父さんの帰りを待っていた。朝、「動きやすい服を着て、懐中電灯を用意しておけ」と父さんに言われたので、その通りにして。
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いよいよ古いまっくを処分するのに隅々までクリーニングしたら、自分で自分に送ったメールの中から出てきたやつ。タイトルがなぜか「Suger!!」だった。まあフジファブ聴いてたんだろうよ!笑
本当にここまでしかないの。ここで終わってんの。
続きどうなるんだよ!気になるよ!書けよ!
でも十歳の男子の一人称で最後まで書ききると児童書になるんじゃないかっていう…
自分の作品の対象年齢がいまだにわかりません(致命的)
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