帰ったときに聞いた話。
田舎ゆえに静かな住宅街(つまり実家の近所)の昼下がり、
「ミーちゃんどこー!ミーちゃーん!」
とだいぶでかい声で言いながらそこらをうろうろしているおばさんがいたらしい。
玄関前で鉢植えをいじっていたウチの親は「ネコかな~子供かな~」と思いながら、近づいてくるおばさんの声を聞いていたそうだが、ふと顔をあげると、隣家の壁と物置の間の地面に、
ミニチュアダックスがぺったりしているではないか。(予想外)
なおも玄関前で鉢植えをいじっていたウチの親は「犬かよ!」と思ったそうだが、当人(犬)がまったくこちらに気付いていないので、そのまま見守ることにしたらしい。
犬は自分を探し回るご主人を「ケケケ」と言わんばかりにものかげから見ていたが、同時に毛の長い尻尾をふぁっさふぁっさと振っていた。ずーっと同じところで尻尾を振っているので、地面の小石とかがきれいになっていったそうだ。別にご主人が嫌いなわけではないらしい。
さらに見ていると犬はおばさん(ご主人)の通過に合わせて、じり…じり…と微妙に体の位置を変え、おばさんの死角に入り続ける。賢い。が、なにがしたいかわからない。
おばさんは「ミーちゃんどこー」と言い続けて通り過ぎてしまった。
犬はずっと尻尾をふぁっさふぁっさ振っていた。
なおも玄関前で鉢植えをいじっていたウチの親は、その様子をただ見ていた。
ワタシは思った。
教えてやれよ
その後、ミーちゃんは二周目のおばさんにあっさり発見されて連れて行かれた。
その時もやっぱり尻尾をふぁっさふぁっさ振っていたらしい。
結局なにがしたかったのかよくわからない。
犬も意外といたずらっこよね、みたいなことをウチの親は言っていたが、
アンタもですよ!という話であった。